山奥で暮らす|夢を叶える賃貸物件の見つけ方

2019年4月26日に総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」の結果によれば、2018年10月1日現在における日本の総住宅数は6242万戸となっており、そのうち13.6%にあたる846万戸が居宅世帯のない住宅、つまり「空き家」となっています。

【情報元・総務省統計局】
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html

単純計算で、一軒家が10戸あれば、そのうち1戸以上は空き家という試算になります。甲信、四国地方ではさらに高い空き家率をマークしており、20%を超える都道府県は前回調査時より増加しています。

こうした傾向から、山奥で暮らすための空き家を見つけるのは、さほど難しくはないように思えます。

ところが、実際に空き家探しをしてみると、売買物件に比べて賃貸物件の情報が非常に少ないことに気付きます。

すでに土地勘があり、山奥暮らしの経験のある方であれば、物件を購入して山奥への移住を決意してもよいかもしれません。

しかし、山奥暮らしが初めての場合や、山奥で暮らす経験はあっても移住先の土地勘がない場合には、いきなり数百万円もしくは数千万円の買い物を決断するのは現実的ではないでしょう。

そこで、ここでは、山奥で暮らすための空き家の賃貸物件を見つける具体的な方法について、いくつかご紹介していきます。

空き家バンク

空き家が増加する要因に、人口減少や少子高齢化、そして大都市圏への人口集中などが挙げられます。このような社会問題となっている空き家の現状と課題に着目し、都会から山奥への移住や、空き家を活用するための様々な情報を取り扱っているのが、「空き家バンク」です。空き家バンクでは、一般社団法人移住交流推進機構が運営する、ニッポン移住・交流ナビ「JOIN」が有名です。

【参考情報・ニッポン移住・交流ナビ JOIN】
https://www.iju-join.jp/

空き家情報のページでは、全国の自治体が登録する空き家情報を検索することができます。詳細ページでは、土地建物や周辺環境の写真が掲載されていますので、山奥暮らしの具体的なイメージをすることができるかもしれません。
しかし、残念ながら情報のほとんどは売買に関するもので、賃貸情報の割合は非常に少なくなっています。
一方、JOINからリンクされている「信州空き家バンク」では、比較的賃貸情報も多く掲載されています。

【参考情報・信州空き家バンク】
https://rakuen-akiya.jp/
信州空き家バンクでは、検索する際に、家庭菜園・畑付き、古民家風、温泉付き・温泉地、ペット可、補助金・支援制度ありなど、様々な条件で空き家情報を絞り込むことができる点が特徴です。

NPO法人

日本全国には、地方創生に則り、地域おこしや町づくりを目的として、山奥への移住を支援するNPO法人が沢山あり、内閣府のNPO法人ポータルサイトから検索することができます。

【参考情報・内閣府NPO法人ポータルサイト】
https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/

このようなNPO法人は、日頃から地域住民と一体となった活動を行っているため、地域の様々な情報が集まりやすくなっています。
もし、自分の好きな地域や住みたい地域に関わるNPO法人があれば、メールや電話等で空き家探しの協力を依頼すると良い返事がもらえるかもしれません。
そうした活動を行っているNPO法人をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。

【参考情報・地域おこしや町づくり活動を行っているNPO法人】
伊豆の田舎暮らし夢支援センター
がんばらまいか佐久間
SOSA Project
大川移住定住協議会

地元の不動産業者

物件情報と言えば、真っ先に思いつくのが不動産業者でしょう。
ところが、山奥の空き家物件は、賃料が格安に設定されていて、地元の不動産業者としては手間のかかる割には仲介手数料が稼げないので、仲介手数料の稼げる売買物件を中心に取り扱うケースが多くなっています。

また、山奥の不動産業者はホームページがないところも多く、直接訪問しなければ保有している物件情報が分からないため、効率的ではありません。

Googleストリートビューで空き家を見つける

もうひとつ、Googleストリートビューを利用して、空き家を自分で見つける方法もご紹介します。
まず、Googleストリートビューで、自分の好きな地域や住みたい地域をチェックしていきます。
空き家の特徴には、

  • 雑草が覆い茂っている
  • プロパンガスのボンベが見当たらない

などがありますので、こうした点をよく確認しながら探すのがポイントです。

注意点として、Googleストリートビューは広角に撮影されているため、実際よりも空き家が大きく映っている場合があります。

また、撮影日が古い場合には、現地調査の際には既に廃屋のようになっていて、とても生活できる状況になかったり、ジャングルみたいになっている場合がありますので気を付けましょう。家自体が取り壊されている場合も結構あります。

空き家の家主さんをオンラインで調べる方法

Googleストリートビューで気になる空き家を見つけたら、その空き家の家主さんと直接賃貸の交渉を行うため、次の手順で家主さんの連絡先を調べます。

登記オンライン情報

  1. Googleマップ等から見つけた空き家の住所(住居表示)を確認する。Googleマップ上で対象の空き家をクリック(又は右クリックから「この場所について」を選択)すると、住所を確認することができる。
  2. 法務省から事務の委任を受けている一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」を使用して、Googleマップ等で確認した住所から、オンラインで空き家の不動産登記情報を取得して物件の所有者を確認する。

【参考情報・登記情報提供サービス】
https://www1.touki.or.jp/

登記情報提供サービスは、個人の場合、クレジットカードがあれば一時利用と個人利用のどちらも利用することができます。(デビットカード及びプリペイド式カードは利用できない場合があるため、利用前にカード発行会社への確認が必要です。)

継続して利用する予定があれば、登録手続きが完了するまで一週間程度かかりますが、個人利用のほうがよいでしょう。

登記情報提供サービスへログインして不動産登記情報を取得するには、住所ではなく登記所が付している地番や家屋番号といった情報を入力する必要があります。
山奥では、住所と地番が同じことが多いため、住所からそのまま不動産登記情報を取得することができる場合があります。

但し、住所と地番が異なり、検索結果で「該当なし」と表示された場合でも、検索画面内にある地番検索サービスを利用して、地番や家屋番号を調べることができます。
また、空き家の住所を管轄する法務局、支局又は出張所へ直接電話して地番照会を行うこともできます。

【参考情報・法務局管轄一覧】
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

それでも家主さんの所在が判明しない場合があります。
特に山奥の場合、引っ越しや相続が発生しても、不動産登記情報を変更せずにそのまま放置しているケースが多いからです。
そうすると現地へ赴きご近所への聞き込みなどに頼るほかありませんが、まだ地域にいるのか、それともすでに離れているのか誰も分からないという事もあります。

その場合、家主さんの調査は難航し、プロの不動産業者でも敬遠する場合が多いので、きれいサッパリ諦めて別の空き家を探しましょう。
案外すぐ近くによい空き家が見つかるかもしれません。

無事に家主さんへ辿り着いたとしても、スムーズに空き家を貸してもらえないケースもあります。
地元の人は、山奥の集落に特有の風習(社会生活上のならわしやしきたり)が存在するため、よそ者を受け入れることに消極的で信用していないケースがあります。

加えて、ご近所の人に「お金に困っていると思われる」のが嫌だとか、「1年に何回か使うため、空き家の中にいろいろなものが置いたまま」といった理由から、なかなかスムーズに貸してもらえないこともあります。

なにより入居する人がどんな人かも分からず、貸したら騙し取られるかもしれないという不安もあり、先祖代々引き継いできた土地建物であればなおのこと慎重になってしまうからです。

そうならないためにも、家主さんの所在が分かったら、突然訪問するのはできるだけ避け、まずはお手紙で自己紹介をしましょう。

そして、どうして山奥暮らしをしようと決めたのか、どうして山奥暮らしにこの場所を決めたのかを、しっかりと家主さんへ伝えましょう。

そうすることによって、次第に家主さんとの間に信頼関係が構築され、快く空き家を貸してもらえる確率が高くなります。

家主さんに気に入ってもらえれば、ビックリするくらいの好条件で空き家を借りることができるかもしれませんし、ひょっとすると敷地の草刈りや空き家の管理、さらに地域活動へ貢献することなどを条件に、無料で山奥暮らしをすることができるかもしれませんよ。